僕とメンヘラ女と奇怪な夜〜吉祥寺の哀〜
こんにちは、最近のマイブームは縄跳びなokutani(@okutani_t)です。本記事では縄跳びに関する事柄は一切出てきません。絶対に出てきません。だって縄跳びのお話じゃあないから。
このお話は実話であり、甘く切ないようで、そうでもないようなお話です。僕とメンヘラ女と吉祥寺の、奇怪で乾いた夜の話。
僕は刺される覚悟で、彼女と吉祥寺の街で密会しました。
コンビニの蛍光灯が僕には眩しく、彼女の笑顔は無くしていた大切なものを見つけ無邪気にはしゃぐ、いつかの思い出に似ていました。
そんな、センチなお話です。ではどうぞ。
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もくじ
きっかけは僕のブログ記事
以前当ブログで、あるレポ記事を書きました。検索からもたくさん読まれていて、Twitterからも「この記事面白いねー」なんてお褒めの言葉を頂いたりしました。
そんな中、9月の終わりにSさんという方から、「記事読んでファンになりましたー!Sといいます!」と同じくTwitter経由で連絡を頂きました。
これが僕とSさんのファーストコンタクトです。
「あなたに会いたい」
Twitterでやりとりをしている中で、Sさんは度々「会いたい」「一緒に飲みに行こう」とリプを飛ばしてきました。
僕は今まで女性にこんなにも「会いたい」と言われたことはなかったため、少し困惑していました。でも、何かひっかかりがあって躊躇っていて、すぐには答えが出せませんでした。
向こうは軽い気持ちで言っているようにも見えるし、普通に飲むだけだから良いんじゃないかとも思いましたが、感じた怖さの方が上回っていたため、お断りすることに。
そうすると、今度はDMでも「会いたい」と来るようになりました。リプとDMのダブルパンチ。
そこまでして、なぜ会いたいのかが僕には分からなく「新手の美人局かもしれない」「断った腹いせに刺しにくるのかもしれない」と恐怖は募るばかり。
「クリスマスなら会うよ」とカマをかけてみる
リプとDMで会いたいを連発されたので、僕はある作戦を立てました。「クリスマスなら会う」とカマをかけたのです。
流石に、知らないやつと初対面でクリスマス過ごそうなんて人はそうそういないと思ったので、これは僕にしては良い作戦だと思いました。
が、返信はまさかの「OK」。。
Sさんは初対面でクリスマスを過ごしても良いと言うのです。
しかししかし、これは僕も男ですから(それに全然モテない喪男なので)、覚悟を決めました。クリスマスはこの人と過ごそうと。
2分後、その覚悟はあっけなく崩壊することになります。
パーティじゃねぇんだよ、クリスマスは!
そんな中、僕の覚悟もつゆ知らず、その会話に「僕も混ぜて〜☆」とやってきたTwitter住民に、Sさんは「いいよ☆みんなで過ごそう☆」とまさかのパーティピーポー。
えっ、なにこれ、ど、どういうことなん?
僕はよく分からなくなったのでSさんをアンフォローしました。なんかもう関わりたくない。
僕の覚悟はあっけなく流されて「もうどうでもいいや」とiPhoneをベットにぽいっと投げやります。もうTwitterは開きたくない。
アンフォローしたままTwitterを放置して、僕はふらりとコンビニへ。立ち読みでもして、気を紛らわせよう。
…普通ならここで終わるはずでした。
加速する「会いたい会いたい会いたい」
僕は精神的に不安定になることがよくあり、人生どうでもよくなると人との関わりを切ってしまう傾向があります。
Twitterでも同じく、フォロー、アンフォローをころころとしてしまいます。仲が良かろうが、そうでもなかろうが。大抵はアンフォローすると、その人からリプが飛んでくることはまずないです。
が、今回は違いました。
SさんのDMからの「会いたい」が、凄まじい勢いで送られてくるようになりました。
僕は何回も「嫌です」「無理です」と言っているのにも関わらず、「一度でいいから」「お願いしますお願いしますお願いします」「会いたいの、一生のお願いだから」と間髪入れず送られてきます。
ここで僕は気付きます。
あ、この人メンヘラ女や…
一度だけ会うことに
もうこうなってしまってはラチがあかないので、一度だけ会うことにしました。
1回だけでも会って向こうに満足してもらえば、それで終わるかと思ったからです。
それに、女性にこんなに会いたいと言われたのは初めてだったので。
「わかりました会いましょう」と送ると「ありがとう、うれしい」とお礼のDMが10通ぐらい届きました。
僕は刺されるのではないでしょうか。
夜22時、吉祥寺パルコ前にて初対面
お互い東京に住んでいることもあり、寒さも感じ始める10月の頭、吉祥寺で会うことになりました。
僕の用事で夜遅くなることも伝え、22時ごろパルコの前で落ち合うことに。
Sさんは、ずっと無くしていた大切なものを見つけたような笑顔で「okutaniさんっ」と僕の隣に、ひょこっと現れました。
僕は人見知りということもあり、ほとんどSさんの顔を見ることができませんでした。
SさんはDMでお酒が飲みたいと言っていたので、僕は事前にコンビニで買ったウーロンハイをSさんに、僕はクリアアサヒを開けてふたりで乾杯しました。夜の吉祥寺、パルコの前でお酒を飲むのはこれが初めてです。
チラッとSさんの方を見てみると、服装は大人しめで茶色いスカート、小さめのリュックサック、真っ直ぐ僕を見つめて微笑む優しい表情。
こうして見ると、全然メンヘラ女には見えず、明るく振る舞う彼女に、少なからず魅力さえ感じるほどに。
僕は緊張のあまり、マンホールの話をしました。
どうしてこんなにたくさんのマンホールがあるのか。家にマンホールを置いたら管理が大変だとか、六角形の模様が可愛いとか。
Sさんは「うんうん」と相槌を打ち、話を聞き終えると「面白いね」と、必ず笑顔で答えてくれます。
僕はうれしくなり、Sさんにたくさんマンホールの話をしました。
吉祥寺の街をふら、ふらり
パルコの前にずっと座っているのもまずいと思ったので、ふたりで夜の吉祥寺の街を徘徊することにしました。
僕はクイズを出すのが好きなので、Sさんにクイズを出しました。
Sさんはほとんど答えられていなかったのですが、「ここはどこでしょう?」のクイズには「吉祥寺のTOKYUの前」と答えて正解していました。やっとクイズの趣旨を理解してくれたみたいです。
そんな会話をしながら街を彷徨っていると、Sさんは「終電がない」と言い始めました。
僕は困惑しました。
「朝まで飲もう」「カラオケでもいいよ」「一緒にいたい」と僕のパーカーの裾を引っ張ります。
通常、大抵の男ならば「これは千載一遇のチャンス」とばかりに、そのまま朝までコースでしょう。
ただ、僕にはSさんの気持ちには応えられませんでした。
ここで彼女の気持ちに応えてしまったら、僕はSさんの心の奥に引きずり込まれてしまう、そう思ったからです。
楽しく話をしている中でも、僕はSさんをメンヘラだと思っています。そして、僕は僕自身のこともメンヘラだと思ってます。
僕とSさんには同じ共通点があるのです。
相手との距離感が掴めず、うまく人との関わりを保つことができない。
Sさんが会いたいと思う気持ちが抑えられないのも、僕は理解できていました。だからこそ、この一度だけで、もう会うことはしてはいけないと。
考え過ぎかもしれませんが、僕はそう直感していました。おそらく、このことをSさんは気づいていないでしょう。
「帰ります」
「嫌だ朝までいたい」
このやりとりを何回したか、覚えていません。
何回も何回もSさんの誘いを断り、なんとかSさんを説得させることができました。近くのネットカフェに泊まるようにお店まで案内し、まだ動いていた中央線に飛び乗り、僕はひとり帰宅しました。
次の日、SさんのTwitterのアカウントは消えていました。
これは正しい選択だったのだろうか?
僕は、僕の考えで「深く関わってはいけない」と答えを出し、Sさんに冷たく接しました。
僕自身メンヘラ気質なところがあり、ふたりで精神的に引っ張りあってしまうと思ったから。だから僕はSさんから必要以上に距離をとりました。
ただ、これが正しい判断だったのかは、僕には分かりません。
もしかしたらお互いに傷付くことなく、普通に遊びに行ける友達にもなっていたかもしれません。おそらく、僕が普通の人ならそうできたはずです。
彼女は彼女なりに、友達を作ろうとしていただけなのでは?
彼女は彼女なりに、誰かに自分の存在を認めて欲しかっただけなのでは?
彼女の本当の気持ちや、考えてることは彼女本人にしか分かりません。
それでも、僕にはそれを受け入れられる心の余裕がありませんでした。
おわりに
吉祥寺の乾いた夜は、ふたりの尖った心で溢れていく。
ひとつ、ふたつ交わす会話は、オレンジ色の街灯に吸い込まれ、ゆっくりと膨張して僕らをまあるく包み込む。
心に突き立てた紅い爪は、動くたびに「愛ってなんだい?」と僕に問う。
「あ、初めて目が合ったね」
僕は、彼女から目を逸らした。
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